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ストレスチェックにおける産業医の面接指導―徹底解説

ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された従業員は面接指導の対象となります。しかし、どのような場合に高ストレス者とされるのかよく分からない人も多いのではないでしょうか。この記事では、高ストレス者の基準やその後行われる面接指導の重要性、そのうえで企業が行っていく対応などについて説明します。「高ストレス者と判定された従業員に」対応するためにも、企業の担当者は判断基準となる内容をしっかり理解しておきましょう。

高ストレス者と判定される基準

高ストレス者は、ストレスチェックの結果どのような基準で判定されるのでしょうか。ここでは、高ストレス者となる判断基準の結果と、その注意点について説明します。


高ストレス者の基準

ストレスチェックの結果、次の2パターンどちらかに該当するときに「高ストレス者である」として選定されます。

1つ目は、ストレスチェックの項目のうち「心身のストレス反応」における合計点数が高い場合です。2つ目は、「心身のストレス反応」の合計が一定の点数を超えており、なおかつ「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」の項目の合計が突出して高いときです。厚生労働省の評価基準でははっきりとした点数が公表されており、高ストレス者が全体の10%となるように設定されています。


しかし、実際のところは実施してみないと分からないのが実情です。評価基準は企業の状況に応じて変更が可能なので、それぞれの特性をふまえたうえで定めるようにするといいでしょう。ただし、いったん定めた評価基準は、ストレスチェックを実施した後に変更することができません。見直しを行いたい場合は、次回のストレスチェックを実施するまでに行うようにしましょう。


ストレスチェックには2通りの方法がある

ストレスチェックの結果を判断するのは、企業ではなく「実施者」です。実施者は、①医師、②保健師、③厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師もしくは精神保健福祉士の資格を有することが必要です。

実施者は①医師、②保健師、③厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師もしくは精神保健福祉士がなることができますが、一般的には、産業医が実施者となるケースがほとんどでしょう。実施者はあらかじめ定められた評価基準に従って高ストレス者を選びますが、評価方法には2種類のやり方があります。それは、「単純合計を用いた判定法」と「標準化得点を用いた方法」です。どちらも厚生労働省が公表しているチェック方法であり、特にどちらが推奨されているというわけではありません。しかし、 どちらの評価方法を採用するかによって高ストレス者の結果が異なる場合があるので、注意が必要です。


面接指導の意義

高ストレス者には面接指導を受けさせることが推奨されていますが、それはなぜなのでしょうか。ここでは、面接指導において産業医がチェックするポイントや、面接指導を受けることでどのようなメリットがあるのかを説明します。


面接指導風景


面接指導の内容

面接指導では、産業医は高ストレス者の状況を把握するためにさまざまな視点からヒアリングを行います。項目としては大きく4つあり、「ストレスのチェック」「勤務状況」「心理的な負荷」「その他心身についての確認」です。 ストレスのチェックでは、仕事におけるストレスの原因や心身にどのようなストレス反応が出ているか、周囲のサポートは得られているかの確認を行います。勤務状況では、事業者である企業があらかじめ提供した情報をもとに業務内容や労働時間について聞き取りをします。心理的な負荷については、ストレスチェックの結果に基づいて「うつの症状などはないか」といった把握をすることが目的です。その他心身についての確認は、現在の生活状況はもちろん、過去の健康診断の結果などについても確認をします。


面接指導を行うことで対処ができる

高ストレス者に面接指導を行い、ストレスになっている要因をはっきりさせられると、対処方法などを指導することが可能です。ストレスによる健康への影響を少なくするための助言ができるのは、とても大きなメリットといえるでしょう。

また、面接指導を通して本人がストレスに気付けることもポイントです。ストレスをはっきりと自覚することで、対処法だけでなく、予防法などについても助言することが可能となります。必要があれば専門機関を紹介するなどの対処もできるので、高ストレス者と判定された従業員はできるかぎり面接指導を受けることが望ましいです。また、面接指導を実施することで、後述するように企業も何らかの対応策を取れる可能性が高くなります。高ストレス者と判定された従業員の具体的なケアにつなげられるのは、面接指導の大きな意義といえるでしょう。


面接指導後に企業がとるべき対応

 企業は、高ストレス者の面接指導後、その内容をふまえて適切な措置をとる必要があります。ここでは、企業が行うべき対応や、行ってはいけないこと、個人情報の取り扱いについて説明します。


 必要に応じて就業上の措置をとる

高ストレス者の面接指導が終了したら、企業は担当の産業医に面談結果の報告・意見を求めます。面接指導から日にちが経ってしまうと適切なケアを行えない場合もあり、法的な拘束時間等の問題が生じる可能性も出てくるので、面接指導終了後、遅くとも30日以内には行動に移しましょう。そして、面接指導での内容や産業医の意見をふまえて、何らかの措置を講じる必要があるかどうかを検討します。たとえば、勤務場所の変更や労働時間の短縮、場合によっては休職などの対応をとることになるでしょう。


こうした措置をとる際には、企業の担当者が、産業医同席のうえで該当の従業員に内容や理由について説明を行うことが大切です。また、本人や産業医だけでなく、現場の管理監督者などともしっかりと連携をとり、理解を得ることが必要不可欠です。担当者は、高ストレス者と判定された従業員のプライバシーに配慮しながら、理解を得られるように説明を行うことが求められます。また、もし何らかの対応をした後に高ストレス者と判定された従業員の状態に改善が見られたときには、通常の勤務に戻すなどの措置をとります。その際には、担当者の判断だけで行うのではなく、しっかりと産業医から意見を聞くようにしましょう。


企業が行ってはいけないこと

企業の担当者は、面接指導の結果に基づいて、必要であれば就業上の措置をとります。しかし、ストレスチェックの結果から従業員に不利益を与えるような行為をすることは禁止されています。たとえば、高ストレス者と判定されたからといって該当の従業員を解雇することは行ってはいけません。また、雇用に期間が定められている従業員の場合、ストレスチェックの結果を理由に契約更新しないことも行ってはいけないことです。それから、退職勧奨や「不当な動機や目的によって行われた」と受け取られる配置換えなども命じることはできません。他にも、労働契約法などに違反するような措置は取ることができないので、しっかりと理解しておきましょう。


個人情報の取り扱いには注意しよう

企業の担当者は、面接指導で使用される 個人情報の取り扱いについても注意が必要です。面接指導の具体的な内容は、第三者に情報がもれてしまわないよう、カギのついたロッカーなどで保管します。パソコンでデータとして保管する場合には、パスワードなどの設定をしたり権限のない人がアクセスできないようにしたりする工夫が必要です。


面接指導の勧奨法

高ストレス者と判定された従業員が面接指導を希望した場合、企業には面接を受けさせる義務が発生します。従業員は、ストレスチェックの結果を受け取って1カ月以内に面接指導の申し出をし、企業はそこから1カ月以内に面接指導の場を設けます。しかし、中には、面接指導の申し出をすることに抵抗がある従業員もいるかもしれません。そのようなときには、どのように面接指導をすすめればいいのでしょうか。


具体的な勧奨方法

高ストレス者と判断された従業員には、できるかぎり面接指導を受けてもらうことが望ましいです。面接指導をすすめられる場面としては、まず、ストレスチェックの結果を本人に通知するときです。面接指導の対象となっていることを伝えて、面接を受けるようにすすめます。それから、ストレスチェックの結果を通知してから一定期間経過後に、書面やメールなどでコンタクトをとる方法があります。現在の状況について確認を行いながら、面接指導の申し出をするように促すのです。


もし、面接指導の勧奨を電話で行う場合には、第三者にもれてしまわないように配慮することが大切です。該当の従業員が面接指導の対象者であると知られないよう、周りの環境には十分に気を配る必要があります。面接指導の勧奨は基本的に産業医などの実施者が行いますが、実施者の補助を担う役割である実施事務従事者が勧奨をすることも可能です。


面接指導を受けてもらいやすい環境づくりが大切

 面接指導を受けるかどうかは、あくまで勧奨を受けた本人が選択します。しかし、せっかくストレスチェックを行うのであれば、その結果を最大限に生かしていきましょう。そのためにも、高ストレス者と判定された従業員が面接指導を申し出やすいような環境づくりに取り組むことが大切です。そのために、まずはストレスチェックの実施から面接指導までを分かりやすく図表などで示すといいでしょう。その際、個人情報の取り扱いや面接指導で行われる内容などを盛り込み、従業員が安心感を持てるようにすることが重要です。ストレスチェックや面接指導での情報が、どのように、どのくらいの範囲で扱われるのかを把握することで、安心して面接指導を受けられます。


また、面接指導を受けてもらうために手続きを簡素化しておくことも有効です。簡単に申し込みができ、手続きを他の人に知られることなく済ませられるような仕組みづくりをしましょう。申し込みのための窓口がどこになるのかをはっきりとさせ、従業員が迷ったり不安になったりしないような配慮が必要です。面接指導の際には従業員が一時的に職場を離れるため、現場の管理者と日時などを共有しておくことも必要になります。他にも、面接指導を実施する産業医が日常的にメンタルヘルス教育を行うことで理解を得やすくなるでしょう。メンタルヘルスについて正しい知識を付けさせることで、面接指導の申し出をする割合を高めることができます。周囲の理解も得られるようになるため、スムーズな面接指導が可能になります。面接指導を実施する産業医がメンタルヘルス教育を部分的に担当することで、従業員にとっても親しみやすい存在になるでしょう。



まとめ

ストレスチェックは「実施して終わり」では意味がありません。ストレスチェックの結果高ストレスであると判定された従業員がいた場合、そのままにしておくと「うつ病」などの病気になるリスクが高まります。企業の担当者は、該当する従業員が面接指導を受けるよう勧奨を行い、その結果何らかの措置を講じる必要があるときは適切に対処するように努めましょう。また、日頃から面接指導を受けやすい環境づくりをすることで、従業員がスムーズに面接を申し出やすくなります。そのためにも、普段から意識的に取り組みを行っていきましょう。


参考:

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル

数値基準に基づいて「高ストレス者」を選定する方法

「ストレスチェック制度における医師による面接指導のヒント集」

ストレスチェック実施の主要な流れとそのポイント

ストレスチェック実施規定

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