睡眠障害に悩む社員がいるときはどうすればいい?企業ができる対策とは?

「ストレス社会」とも呼ばれる世の中で、不眠症などの睡眠障害を抱える人が増えてきています。会社で睡眠障害を抱える社員がいることでパフォーマンスも悪くなるため、あまり好ましくない状況です。本人がつらいのはもちろんのこと、会社にとってもデメリットが多いのが睡眠障害だといえるでしょう。そこで、今回は、睡眠障害に悩む社員のために企業ができることを紹介していきます。


睡眠障害に悩む人が増えている

日本では、睡眠障害に悩む人たちが年々増加しています。そもそも、睡眠障害とは、人間にとって不可欠な睡眠において何らかの障害が生じている状態を指す言葉です。睡眠障害と一口に言っても、「不眠障害」「睡眠呼吸障害」「過眠症」といったさまざまな症状があります。たとえば、不眠障害は寝付きが悪かったり眠っている途中で目が覚めてしまったりする状態です。睡眠呼吸障害は、眠っている間の呼吸に何らかの異常が起きる状態です。メディアなどでもよく取り上げられる睡眠時無呼吸症候群などがここに該当します。過眠症は、日中に起きていられないほどの眠気を感じる状態で、ナルコレプシーなどが含まれます。


このように、睡眠障害にはいろいろな症状がありますが、共通していえるのは「本来は必要不可欠な睡眠が阻害されてしまっている」ことです。そして、仕事に対しても影響が出てしまうケースが多くなっています。睡眠障害が増加している原因としては、現代社会の環境がそれを後押ししていると考えられます。技術が発達して便利になった反面、質のいい睡眠を取るにはあまり適していない社会が出来上がってしまいました。たとえば、社会全体が眠らない24時間化していることや、ブルーライトのあるスマホの普及、ストレス社会などが大きく影響しているでしょう。こうした背景により、睡眠障害を抱える人が増えている現状があるのです。


睡眠障害が与える影響

睡眠障害を抱えることにより、本人にとっても周囲にとってもあまりよくない状態につながってしまいます。睡眠障害が与える影響としていくつか例を紹介するので、会社の中でこのような社員がいたら注意して様子を見てみましょう。


業務のパフォーマンスが落ちる

睡眠障害になってしまうと、業務のパフォーマンスが落ちることにつながります。特に、深刻化することで能率の低下につながり、業務のパフォーマンスが著しく低下する恐れがあるのです。また、注意力が散漫であったり集中力や判断力が低下したりすることにより、本来できるはずの業務を遂行することが困難になる可能性も考えられます。そうなると、仕事への影響は計り知れません。さらに、最悪の場合には、通勤途中の事故や大きなトラブルに見舞われる危険性もあるでしょう。大きなトラブルに発展することを防ぐためにも、早期に発見をして対処するのがベストです。


人間関係が悪くなる

睡眠障害は、人間関係の悪化にもつながります。しっかり眠れていないと、睡眠不足によってイライラしてしまったり、普段の冷静な思考ができなくなってしまったりすることがあるのです。場合によっては、それが原因で職場での人間関係を壊してしまう恐れもあります。また、睡眠不足で苦しんでいることを周りに理解されないことで、当たり散らしてしまう可能性もあるでしょう。睡眠障害は、本人だけでなく職場への影響も大きいため、決して軽視できない問題です。


放置すると悪化する恐れがある

睡眠障害を放置することによって、状態をさらに悪化させてしまう可能性もあります。睡眠は健康に生きるうえで不可欠な要素で、睡眠障害を放置することによって、高血圧や心疾患など別の病気への発展も考えられるのです。そうなってくると、とても仕事どころではない事態にもなりかねません。また、睡眠不足はホルモンバランスの乱れにもつながってきて、女性の場合には生理などにも影響を与えます。深刻な状態になる前である、睡眠障害の段階から対策が必要といえるでしょう。


睡眠障害の従業員に会社側ができる対処とは

ここでは、もし睡眠障害が疑われる社員が出てきてしまった場合に「会社としてどのようなことができるのか」という対処について紹介します。普段から社員の睡眠状態について高い意識を持つことはもちろん重要ですが、実際にそうした社員が出たときのことについても学んでおきましょう。


労働条件を見直す

睡眠障害が疑われる社員が出た場合、労働条件を見直すことを検討しましょう。もし、睡眠障害を起こした原因が働き方にあるのであれば、会社は就業のスタイルについて考える必要があるということです。たとえば、時短勤務にしたり、雇用形態を変えたりなど、本人の希望の下で労働条件を見直すのも一つの手です。こうした対応を取るときには、会社の一方的な考えを押しつけるのではなく、社員の意見にしっかりと耳を傾けるようにしましょう。


業務内容や職場環境を改善する

業務内容や職場環境を見直すことによって、社員の睡眠障害の改善を図ることもできます。特に、睡眠障害の原因が職場内の人間関係や働き方以外の業務内容などに問題がある場合、原因を排除するなどして改善することが好ましいです。ただし、本人やその周りの人の意見をよく聞いたうえで慎重に対処する必要があります。業務内容や職場環境の改善をしたつもりでも、現場の声をないがしろにしたものでは、余計に状態を悪化させることにつながりかねません。


医療機関を紹介する

睡眠障害の社員に会社ができることとして、医療機関を紹介するのも1つの方法です。原因であると考えられるところを会社側で改善するのもいいですが、中には個人的な要因で睡眠障害になっている社員もいるかもしれません。そのような場合には、医療機関を紹介してあげるのも有効です。 社員によっては、「会社に迷惑をかけたくない」といってなかなか病院に行かない人もいます。会社から勧めてあげることで、病院に行く決心がつく人もいるのです。



睡眠障害を事前に防ぐために

会社としては、できるかぎり睡眠障害になってしまう社員を減らしたいものです。事前に防ぐ方法があるならば、実践しない手はありません。そこで、ここでは、睡眠障害にかかる社員を少しでも減らすための対策について紹介します。


専門的な産業医を配置する

会社に専門的な産業医を配置することで、睡眠障害を防ぐことにつながります。産業医とは、職場に関わる医師のことをいいます。社員が健康的に安心して働けるように健康状態を管理するのが産業医で、会社の規模によっては産業医を配置することが義務付けられています。ここでポイントとなるのは、産業医によっては得意分野があるという点です。もし、職種や労働環境などの原因による睡眠障害を重点的に予防したいと考えているのであれば、睡眠障害に詳しい産業医を配置することが有効となります。


というのも、睡眠障害は症状によって治療方法が違うからです。睡眠薬だけ処方すればいいというわけではなく、「どういった症状が出ているのか」「どのようなサインがあるのか」を見極めることが大切となります。また、きちんとした診察や検査を行って、正しい疾患を判断し、それぞれに応じた治療が必要なのです。そのため、睡眠障害を専門にしている産業医を配置することで、適切なアドバイス を受けることができるでしょう。


ストレスチェックを行う

睡眠障害にいち早く気付くためには、ストレスチェックを行うことも有効です。ストレスチェックも、産業医と同じように会社の規模に応じて義務付けられている制度の1つとなります。従業員の精神的な不調の予防のために設けられている制度で、ストレスを原因とした睡眠障害の予防にもつなげやすいのが特徴です。ストレスチェックは年に1回実施することが義務付けられていますが、同じ月にストレスチェックを行うことで、より変化に気付きやすくなります。従業員のストレスに早期にアプローチすることで、睡眠障害といった形で表層するのを事前に防ぐ対策になるのです。


ストレスチェックの実施においては、定められたルールに沿って、個人情報に配慮しながら行う必要があります。繊細な情報を扱うことや検討するべき項目が多いことなどから、ストレスチェックの導入にハードルの高さを感じる会社もあるかもしれません。そのようなときは、外部に委託するのも1つの方法です。ストレスチェックを専門に提供している外部業者やEAP機関など、ストレスチェックを提供している機関は意外と多くあるため、一度探してみてください。ただし、利用する機関によっては「メンタルヘルスが得意であるか」「どこまでのサービスを受けられるのか」といった点をしっかり確認しましょう。


睡眠障害に悩む社員のために快適な会社に!

睡眠障害は、会社全体のパフォーマンスを落としかねない要素の1つといえます。本人への影響だけでなく、会社にとってもデメリットが多いでしょう。従業員の健康に配慮することは、会社全体の健康経営にもつながることです。 企業のトップや人事労務担当者は、こうした問題を理解したうえで、適切な対処を取るようにしましょう。

人気記事

1

嘱託産業医への報酬はどれくらい?相場や決まりなど。

「産業医の採用コストっていくらが適正なの?」と不安に思う方は多いのではないでしょうか。 すでに産業医がいる企業でも、雇用形態を変えることでコストを抑えることもできるかもしれません。 本記事では、産業医の報酬相場や決まりなどをご紹介します。

2

産業医との契約形態にはどのようなものがあるか

産業医との契約にはいろいろなケースがあるのをご存じでしょうか? 大きく分けると、産業医と企業が直接契約するケースと、間に企業をはさんで間接契約するケースの2つの方法があります。 本記事では、多くの企業が採用する直接契約について解説します。

3

産業医 尾林誉史先生×企業の語り場 vol.1

企業の産業保健活動を推進するために、企業と産業医の間ではどのような連携が必要なのでしょうか。 今回は、カヤックの労務担当・植杉佳奈恵氏、カヤックの産業医を務める尾林誉史先生に、対談形式で実際に行っている産業保健の取り組みについて伺いました。

4

今、働き方改革で注目したいのは”働き方”に直結する社員の“食環境”

働き方改革の流れの中で、いま改めて考えたい社員の“食環境”。取り組みをされている企業はまだ少ないのではないでしょうか? 今回は「食から始める働き方改革」というテーマで、人気栄養士 笠井奈津子氏にお話を伺いました。

5

産業医 尾林誉史先生×企業の語り場 vol.2

事業の成長・拡大に伴い、企業においてもさまざまな変化が生じます。そのような現場を支える人事・労務担当者や産業医は、産業保健にどのように向き合っているのでしょうか。今回は株式会社じげんの労務担当・岩﨑裕子氏、同社の産業医を務める尾林誉史先生にお話を伺いました。

関連記事

従業員の五月病対策。ぜひゴールデンウイーク前に確認を!

従業員の病気

5月の連休明け頃になると、体調を崩す従業員が出てきます。気持ちが暗い、眠れない、や る気が出ない、仕事に集中できない…。それは「五月病」の可能性が高いです。この記事で は、五月病とは何かや、人事・労務部でできる従業員の五月病対策を紹介します。

体調不良になりがちな梅雨 職場環境を改善して労働効率アップを!

従業員の病気

暑かったり寒かったり、あるいはジメジメした天候が続く梅雨時は体調を崩しやすいものです。 イライラしたりやる気が出なかったりして仕事の能率も下がりがち。 こうした症状を指す「気象病」という言葉も定着してきました。 その原因の多くは自律神経の乱れにあります。 規則正しい生活やバランスのとれた食事、適度な運動を心がけることが大切ですが、職場環境を見直すだけで症状を和らげることも可能です。 ポイントは温度と湿度のコントロール。 職場の温度と湿度に目配りして、生産性アップにつなげましょう。

あなたはセルフケア出来ていますか?!

健康経営とは

平成18年3月に厚生労働省が、「労働者の心の健康 の保持増進のための指針」(以下、メンタルヘルス指針)を定めました。この中には、働く人の精神的な健康の保持増進のために、4つのケアを上手く機能することが大切であることが述べられています。 4つケアとは、具体的には、「セルフケア」・「ラインケア」・「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」・「事業場外資源によるケア」になります。これだけストレスが過多になった時代なので、誰もがメンタルヘルス不調になる可能性があります。だからこそ、誰もがその予防方法を知って、実践する必要があります。 そこで、自分自身でできるメンタルのケアとして、セルフケアが該当します。ただ、このセルフケアについて、聞いたことがある人がいても、自信を持って「セルフケア出来ています!」と言える人は少ないのではないでしょうか。

健康経営に欠かせない衛生管理者とは?選任義務と必要な資格について解説

産業医選任以外の義務

従業員の健康に配慮した健康経営をするうえで、衛生管理者は必要不可欠です。特に、条件を満たす事業所であれば、衛生管理者を配置することが義務付けられています。しかし、そもそも衛生管理者とはどのような役割で、配置することでどのような効果があるのか理解しているでしょうか。ここでは、衛生管理者を配置する際に最低限覚えておきたいポイントについて詳しく紹介します。

従業員の復職面談はどうすればいい?流れや方法を分かりやすく解説!

従業員の病気

従業員が休職後に職場への復帰を進める場合、問題なく復帰ができるのか悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。その問題点の解決策の一つとして、復帰前に対象者と面談をして、復職できるかどうかの見極めをすることが重要です。この記事では、復職面談の事前準備や、面談を行う際のポイントについて分かりやすく解説していきます。

お問い合わせ

産業医の採用ついて、健康経営の取り組みについて、お困りではありませんか?
お見積り、ご相談は完全無料ですので、お気軽にお問い合わせください