医師を採用するなら嘱託産業医を狙え! ―医療機関の産業医“派遣”戦略(後編)

(2016年11月30日 病院経営事例集より転載) 

産業医に対する関心の高まりが、医療機関にとっては収入確保の“追い風”になると話すのが、エムスリーキャリア 産業医チームのコンサルタントお二人です。
今回は企業向け産業医業務専任の非常勤医(以下、嘱託産業医)の採用を軸にお話を聞きました。
​​​​​​​


≪目次≫
●前編
・企業の産業医ニーズに変化
・嘱託産業医1人で年間3300万円超の医業収入も
・健診とのセットで、予防・検査~治療・職場復帰をカバー
●後編
・実は希望者の多い嘱託産業医
・常勤医採用への糸口にも
・エムスリーキャリアでは産業医チームで対応



実は希望者の多い嘱託産業医

―前編では、企業側の産業医ニーズが強まっていて、医療機関がニーズに応える余地はまだまだ残されていることを伺いました。しかし、“派遣”する産業医がいないことには始まりません。産業医希望の医師は採用できるものなのでしょうか。

川原氏:
医療機関の方々が思っている以上に、嘱託産業医は多くいらっしゃいます。たとえば最近では、嘱託産業医の求人を当社登録の先生方にご案内したところ、医師不足で知られる北関東エリアで20件弱のお問い合わせをいただきました。


―なぜ、それほどの問い合わせが来るのでしょうか?

川原氏:
産業医は業務負担が少なく、社会ニーズにも応えられるという点のほかに、嘱託産業医の仕事は月1回の勤務でよく、訪問日も調整しやすい点が、興味を持たれやすい理由です。
たとえば、大学勤務の医師には非常勤勤務で収入を増やしたい方も多いのですが、毎週決まった曜日・時間に働くのはなかなか難しい事情があり、月1勤務は喜ばれます。

―嘱託産業医は毎週の定期勤務ではないのですか?

川原氏:
そこが通常の非常勤勤務とやや異なる点です。
医療機関のご担当者によっては、「毎週来てもらうほどの“派遣”先はないから、非常勤の産業医は雇えない」とお考えの方もいらっしゃいますが、むしろ月1回勤務の方が都合がつきやすいという医師も多いかと思います。


常勤医採用への糸口にも

―嘱託産業医を採用すると、常勤医の採用にも繋がるというお話がありました。

西頭氏:
これは嘱託産業医に限った話ではないのですが、常勤医が集まりにくい医療機関には、非常勤医に常勤勤務を打診することも検討されてみてはと考えています。
医師にとって常勤転職はキャリアの節目になりますから、転職先を慎重に吟味することになります。その点、非常勤勤務はハードルが低く、応募していただきやすい。非常勤医として勤務してみていただいて、医療機関のことをよく理解してもらってから、常勤勤務していただいた方が定着率も良くなるでしょう。

―つまり、非常勤医も常勤医候補として捉えるわけですね。

川原氏:
常勤または非常勤で産業医勤務を希望する先生の7割は元々臨床に携わっている方で、産業医業務は未経験。それがご家庭の事情などから一時期だけ非常勤勤務する場合もあり、そうした方は「いずれは常勤勤務に戻るときは臨床で」と考えていることも多いです。

エムスリーキャリアでは産業医チームで対応

―エムスリーキャリアでは、医療機関の産業医採用にどのような対応をしているのでしょうか。

西頭氏:
医師の方々から「産業医としての働き先を紹介してほしい」という希望が増えていますし、企業側からも産業医に関するお問い合わせが目立っていますので、常勤担当や非常勤担当のコンサルタントで構成する「産業医チーム」をつくって対応しています。
当社から企業に産業医をご紹介するケースもあるのですが、産業医の選任が必要となる事業所は全国に16万件以上。全国各地の医療機関が産業医を採用して、“派遣”していただくことで、全国のメンタルヘルス対策がスピーディーに進めば―と考えています。

川原氏:
当社にご相談いただければ、産業医の先生の職務経歴も把握できますから、安心して採用いただけます。また、他院の採用事例などもご紹介できるので、嘱託産業医を採用中、または、採用を検討中であれば、ぜひお声掛けいただきたいですね。


《医療機関の産業医“派遣”戦略(前編)》医業収入と常勤医を一挙に確保!産業医を非常勤採用すべき理由


西頭倫歩(さいとう・みちお)
大学在学中からグラフィック・デザイナーとしてキャリアを積んだ後、広告代理店でクリエイティブ・ディレクターに転身。また、大学院で戦略経営やファイナンスを専攻し、MBA(経営学修士)を取得する。そして大学院での学びを実務に活かそうと、エムスリーキャリアに入社。現在は医療機関における医師採用の支援や、医師の転職をサポートしている。


川原健太(かわはら・けんた)
東京理科大学理学部卒業。新卒で入社した大手教育企業で教室長を経験。「転職」という人生の様々な分岐点に関わりたいと思い、2016年4月にエムスリーキャリアへ入社。常勤医師のキャリアコンサルタントとして従事。現在は、専属産業医の転職支援プロジェクトの中核メンバーとしても活躍。


人気記事

1

嘱託産業医への報酬はどれくらい?相場や決まりなど。

「産業医の採用コストっていくらが適正なの?」と不安に思う方は多いのではないでしょうか。 すでに産業医がいる企業でも、雇用形態を変えることでコストを抑えることもできるかもしれません。 本記事では、産業医の報酬相場や決まりなどをご紹介します。

2

産業医との契約形態にはどのようなものがあるか

産業医との契約にはいろいろなケースがあるのをご存じでしょうか? 大きく分けると、産業医と企業が直接契約するケースと、間に企業をはさんで間接契約するケースの2つの方法があります。 本記事では、多くの企業が採用する直接契約について解説します。

3

産業医 尾林誉史先生×企業の語り場 vol.1

企業の産業保健活動を推進するために、企業と産業医の間ではどのような連携が必要なのでしょうか。 今回は、カヤックの労務担当・植杉佳奈恵氏、カヤックの産業医を務める尾林誉史先生に、対談形式で実際に行っている産業保健の取り組みについて伺いました。

4

今、働き方改革で注目したいのは”働き方”に直結する社員の“食環境”

働き方改革の流れの中で、いま改めて考えたい社員の“食環境”。取り組みをされている企業はまだ少ないのではないでしょうか? 今回は「食から始める働き方改革」というテーマで、人気栄養士 笠井奈津子氏にお話を伺いました。

5

プレゼンティズム、アブセンティズムから考える健康経営

人事労務の仕事を通して、「プレゼンティズム」「アブセンティズム」というキーワードに触れる機会は増えていませんか。それは、これらのワードが従業員の健康に対する投資対効果(ROI)を測るための指標として注目を集めているからです。 本記事では「プレゼンティズム」「アブセンティズム」という言葉の意味をはじめ、改善に取り組むメリットをご紹介します。もしこの2つを理解し、従業員のアクションまで落とし込めれば、自社の生産性向上や経営陣への健康経営に向けたアピールにもきっと役立てられるはずです。

関連記事

医業収入と常勤医を一挙に確保!産業医を非常勤採用すべき理由―医療機関の産業医“派遣”戦略(前編)

産業医選びのための知識

近年、産業医に対する注目はますます高まっています。 その中で「産業医業務専任の非常勤医を採用することが、医療機関の収入や常勤医の確保にとって “追い風”になる」と言われています。 今回は、エムスリーキャリア産業医チームの西頭倫歩氏と川原健太氏にその理由を伺いました。

ストレスチェックを産業医に断られたときの対応法!スポットサービスの活用

産業医選びのための知識

自社の産業医に「ストレスチェックの実施者」への就任を依頼したところ断られてしまった、というケースは意外とあるものです。 本記事では、産業医にストレスチェックを断られてしまった時にどうしたらいいのか?をご紹介しています。

産業医との契約形態の種類と特徴

産業医選びのための知識

産業医との契約にはいろいろなケースがあるのをご存じでしょうか? 大きく分けると、産業医と企業が直接契約するケースと、間に企業をはさんで間接契約するケースの2つの方法があります。 本記事では、多くの企業が採用する直接契約について解説します。

嘱託産業医への報酬はどれくらい?相場や決まりなど

産業医選びのための知識

「産業医の採用コストっていくらが適正なの?」と不安に思う方は多いのではないでしょうか。 すでに産業医がいる企業でも、雇用形態を変えることでコストを抑えることもできるかもしれません。 本記事では、産業医の報酬相場や決まりなどをご紹介します。

はじめての産業医選任! 産業医との契約について詳しく解説!

産業医選びのための知識

会社が成長し、従業員数が増えてくるにつれて、従業員の健康を守るために産業医の選任をする必要があります。しかし、初めて産業医をおく場合、産業医との契約に関して分からないことも多いのではないでしょうか。産業医と正しく契約を結ぶことで、企業としての信頼獲得にもつながります。この記事では、産業医との契約について、基礎知識を分かりやすく説明していきます。

お問い合わせ

産業医の採用ついて、健康経営の取り組みについて、お困りではありませんか?
お見積り、ご相談は完全無料ですので、お気軽にお問い合わせください