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体調不良になりがちな梅雨 職場環境を改善して労働効率アップを!

暑かったり寒かったり、あるいはジメジメした天候が続く梅雨時は体調を崩しやすいものです。

イライラしたりやる気が出なかったりして仕事の能率も下がりがち。

こうした症状を指す「気象病」という言葉も定着してきました。

その原因の多くは自律神経の乱れにあります。

規則正しい生活やバランスのとれた食事、適度な運動を心がけることが大切ですが、

職場環境を見直すだけで症状を和らげることも可能です。

ポイントは温度と湿度のコントロール。

職場の温度と湿度に目配りして、生産性アップにつなげましょう。

気象病を招く低気圧と寒暖差

昔から「天気が崩れると古傷が痛む」ということが経験的に言われてきました。

かつては気のせいで片づけられていましたが、現在では気象の変化が原因とみられる

症状を「気象病」と呼んでいます。

愛知医科大学学際的痛みセンターの佐藤純客員教授によると、愛知県で20歳以上の住民6000人を対象に行ったアンケート調査で、39%の人が体のどこかに3カ月以上痛みを感じており、そのうち25%が「天気が悪い時、崩れるときに痛みを感じる」と答えたそうです。佐藤客員教授はこれを「天気痛」と呼び、気圧の変化が影響していると見ています。

気象病には寒暖差疲労もあります。

天候不順で梅雨寒と真夏日が交互に現れたり、冷房の使用で屋内外の温度差が大きくなったりすると、体温を一定に保つのにエネルギーを使うため、疲れがたまりやすくなるのです。

一般的に、7度以上の温度差があると、人間の体はうまく適応できないといいます。

さらに、体調不良には湿度も関係してきます。

同じ温度であっても湿度が高いと不快感が強まり、ストレスにつながります。

また、湿度が高いとカビやダニが増殖しやすくなりますので、健康にはよくありません。

職場環境の見直しで体調不良を改善できる

こうした気象病は、オフィスの快適環境づくりを心掛けるだけでかなり改善します。

ここでは、仕事の能率低下を防ぐための対処法を、ポイントごとに紹介しましょう。

考慮しなければいけないのは、次のような点です。

✓快適さは個人によって異なる

✓同じオフィス内でも温度差がある

✓空調温度と実際の温度は違う

✓ストレス緩和

個人差

温度に対する感覚の個人差については、夫婦が同じ部屋にいても一方が暑がり、

一方が寒がるという話をよく聞きますから、分かりやすい話だと思います。

一般的に、女性は男性に比べて基礎代謝量が少なく寒さに弱いとされます。

また、室内仕事に従事しているか外回りかでも、温度変化に対する耐性は変わってきます。

解決策:
クール・ビズの励行
ひざ掛けやカーディガンの着用
卓上扇風機の使用
わきの下を冷やしたり首筋を温めたりする

室内の温度差

日差しが当たる窓際は当然室温が高くなりますし、コンピューター機器の周辺も、機器から発する熱で温度が上がります。

また、冷たい空気は下にたまりますから、頭寒足熱とは逆に、足元は冷えるのに顔は暑いといった状態を招きやすくなります。

逆に、エアコンの吹き出し口直下は冷たい風が直接当たりますから、室温以上に寒さを感じます。

解決策:
ブラインドの適切な使用
遮光シートやすだれの活用
扇風機で室内の空気を循環させる

空調温度との差

エアコンを28度に設定していても、室温が28度であることはまずありません。

しかも、メーカーによってエアコンの温度の検知方法が異なりますので、エアコンの設定温度と実際の室温の差はさまざまだと考えておいた方がいいでしょう。

また、同じ温度でも湿度が高いと暑く感じます。

解決策:
温湿度計を目に見えるところに置いて実際の温度を常に把握する
加湿器、除湿器を置く

ストレスの緩和

多くのオフィスは、形や机の配置が直線的で無機質なため、ときに威圧感を感じさせます。

こうした環境は緊張を強いてストレスの原因になりやすいものです。

緊張緩和に役立つのが、適切なカラーリングと香りです。

心身のバランスを保ち、安心感や落ち着きを与えるとされるのが緑色です。

目にやさしく、リラックス効果があるうえ、温度感のない色ですので、どんな所にも合います。

緑といえば植物ですが、植物には保温加湿作用があります。

また、香りにリラックス効果があるのは、アロマテラピーが治療法として用いられていることでも分かります。

解決策:
観葉植物をオフィスに置く
アロマなどの香りを楽しめるスペースをつくる

梅雨時の体調不良は自律神経の乱れが原因

全身をコントロールする自律神経

これらの取り組みが効果を発揮するのは、気象病の多くが自律神経の乱れによって引き起こされるからです。

自律神経は体内の情報や外部からの刺激に反応して意思とは無関係に働き、全身の臓器・器官の働きをコントロールしています。

このため、梅雨時の不快な症状はだるさ、吐き気、肩こり、頭痛、めまい・耳鳴り、下痢・便秘、関節痛・神経痛など全身に現れ、やる気が出ない、イライラしやすい、集中力低下など精神面にも及びます。

自律神経は交感神経と副交感神経からなり、互いに反対の作用をします。

交感神経は緊張したり興奮したりしたときや運動時に優位になり、副交感神経は食後や体を休めるときに働きを強めます。

基本的に、寝ているときは副交感神経が、朝目覚めると交感神経が優位になります。

自律神経が乱れるというのは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることをいいます。

つまり、交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがうまくいかなくなるのです。

たとえば、梅雨時は低気圧の影響で雨が多いですが、気圧が低いと副交感神経が働きます。

すると、日中でも体は休息状態が続き、低血圧、循環不良による手足の冷え、下痢などの症状が出やすくなります。

また、体温を一定に保つのも自律神経の役割ですので、寒暖差疲労は自律神経の乱れを招くのです。

湿度が高いときも、汗による体温調節が難しく、体の負担が大きくなります。

自律神経を正常に働かせるには

自律神経が乱れる最も大きな原因はストレスです。

ストレス緩和のために大切なのが、次の3つです。

✓規則正しい生活と十分な睡眠

✓バランスの取れた食事

✓適度な運動

睡眠不足が良くないのはは言うまでもないでしょう。

食事で気を付けたいのは、冷たいジュースなどで内臓を冷やさないことです。

内臓が冷えると、自律神経が乱れ、消化吸収活動が滞ります。

適度な運動は筋肉を刺激して血行や新陳代謝を促進します。

このほか、少し低い温度での入浴や、体を冷やさない工夫も大切です。

職場環境改善は企業の義務

それなら、梅雨時の体調不良を防ぐには個人の取り組みに任せればいいと思われるかもしれませんが、実は、会社にも職場環境を整えることが求められているのです。

労働安全衛生法は会社に職場環境配慮義務を課し、同法に基づく「事務所衛生基準規則」で室温17~28度、湿度40~70%をキープするよう示しています。

建築物衛生法の「建築物環境衛生管理基準」でも同様の数値を上げたうえで、温度について「居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと」としています。

適正な温度と湿度の維持が作業能率の点からも効果があることは、学術的にも裏付けられています。

日本建築学会の研究グループが、オフィスで働く社員355人を対象に簡単な作業をしてもらった実験では、室温が25度から27.5度に上昇すると作業効率が4%低下しました。また、作業効率が最大になるのは25.7度でした。

日本では、省エネの観点から夏場の室温を28度に設定するよう推奨されていますが、海外では23度前後が多くなっています。

生産性アップを考えるなら、温度・湿度とも、事務所衛生基準規則よりももう少し幅を狭めるという考え方があっていいかもしれません。

まとめ

梅雨時の体調不良は、乱れた生活習慣が招いていることが多いのは確かです。

しかし、作業効率の低下につながるのですから、会社として、個人の問題と切り捨てるわけにはいきません。

労働安全衛生法に基づく「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針(快適職場指針)」は、「作業の態様、季節等に応じて温度、湿度等の温熱条件を適切な状態に保つこと」などと、会社としての取り組みを促しています。

オフィス環境の改善とともに、生活習慣の見直しを社員に通知するなど、天候不順で気分が落ち込みやすい梅雨時を乗り切るよう指導することも忘れないようにしましょう。

参考:

NHK解説アーカイブス「気象病とは何か」

神戸東洋医学研究会「寒暖差疲労」

日本建築学会「オフィスの温熱環境が作業効率及び電力消費量に与える総合的な影響」

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