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ストレスに強くなる食事とは【連載vol.4】

ストレスを感じたとき、私達にはどのようなことが起こるでしょうか。
「集中力が落ちる」「判断力が落ちてミスをしやすくなる」といった仕事への影響もあれば、「ちょっとしたことでイライラする」「暴飲暴食をしてしまう」「睡眠に問題を抱えやすくなる」など人間関係や体調に影響を及ぼすことまで、その影響が随分広いことに気付かされます。

こうした状況で、パフォーマンスが高い仕事をするのは至難の業…と感じますが、それでも、多くのビジネスパーソンがストレスと共存しながら仕事をしているのが現状です。

2017年の厚生労働省の労働安全衛生調査では「現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合」は 59.5%でした。そして、その内容をみると(3つまでの複数回答)、「仕事の質・量」が53.8%と最も多く、次いで、「仕事の失敗、責任の発生等」38.5%「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」30.5%の順となっています。いずれも、すぐには状況を変え難い事柄だからこそ「日々、ストレスケアをしている」という実感を伴って対処する必要があるのではないかと思います。


ストレスがかかると栄養素の必要量は増える!

「集中力が落ちたから何か口にしよう」と考える方は少なくありませんが、「ストレスがかかっているからいつもより栄養バランスを意識しよう」と考える方はそう多くありません。そもそも、ストレスがかかるようなときは仕事量が多いときかもしません。
そんなときは、食事は後回しになりがちです。のんびり外でランチする余裕なんてなく、コンビニに食事を買いに行っても、選ぶのはパソコン片手に食べられるサンドイッチやおにぎり。コンビニに行く時間すらなければ、デスクの引き出しに入れてあるカップラーメンや栄養補助食品、お菓子で済ませてしまうのが現実かもしれません。

しかしながら、ストレスを感じたときほど、体はいつも以上に栄養を必要とします。なぜならば、そのストレスに抗うために副腎皮質から分泌されるホルモンの材料として、タンパク質やビタミンB群、ビタミンCなどが必要だからです。ビタミンCが柑橘系の果物や野菜に多く含まれることは知られていますが、仕事をしながらササッと済ます炭水化物メインの食事ではほとんど摂ることができません。しかも、ビタミンCのような水溶性のビタミンは、毎食欠かさず補給することがポイントとなります。




仕事中はきちんとした食事がとれないため、朝から自宅で具だくさんのスープを飲んだり、果物を食べたり、夜は自炊をしっかりする…というのもストレス下においては非現実的です。ストレスがかかったときほど、まともな食事がとれなくなるのに、実はそういうときほど体は栄養を必要としているとは何とも皮肉な話です。
しかし、「ストレスに強くなるにはいつも以上に栄養を摂った方がいいらしい」ということを知っているだけで、状況は少し変わっていくと思いませんか。


食への投資は、自分と会社に返ってくる

食事への投資価値を知らなければ、忙しいときにササッと済ませる食事なんて100円、200円でお腹にたまるもので良いだろう、と思ってもおかしくありません。しかし、「今ここで食事をとると、体だけではなくメンタル面までリカバリーできる」と知っていれば、毎回ではなくても、同じコンビニでも手にとるものが変わってきます。少なくとも、ストレスの程度がまだ軽いうちには、改善につながるアクションは起こしやすいはずです。

また、社内でのこうした知識の共有は、上司が部下をマネジメントする際にも活きてくるはずです。たとえば、いくら繁忙期でも、食事休憩はきちんととらせた方が良い、という判断がしやすくなるでしょうし、メンタルに問題を抱えているように見える若手社員も、食事や睡眠などの基本的な生活で改善できる部分がある、と気づくこともあるかもしれません。食事にお金をかければよい、というわけではありませんが、安さと満腹感だけを追い求めると、栄養はあまり期待できません。カップラーメンや菓子パンだけ…そんな食生活を送っていたら要注意です。

人生100年時代のビジネススキルのひとつとして、個人の健康リテラシーの向上はもちろん、“金銭的に負担がない範囲で、社員がいかに栄養のある食事を摂れるか”を考えるのも、その環境を整えるのも、会社として大切なことのように思います。




選択肢を持っておくということ

人それぞれ違った趣味を持っているように、ストレスへの対処法も色々あると思います。ただ、食事は誰しもが日常的にとるもので、仕事中も欠かせないものだからこそ取組みやすく、心身共に変化を感じやすいもの。実際、食生活の改善によって、うつ症状や不眠症が改善されるケースも多くみてきました。

人事や労務厚生担当の方が社員の悩みを直に聞いているケースもよく耳にしますが、「自分が対応するしかない」「解決のための選択肢がない」という状態は、当事者にも、担当者にも、さらなるストレスを生むこともあります。

だからこそ、産業医やカウンセラー、ヘルスケア分野の外部講師などもうまく活用して、社員の健康維持・増進をできるようにしていきましょう。
“食環境を整える”ことも、従業員というかけがえのない財産を大切にするために、会社が持てる選択肢のひとつです。


↓笠井氏の連載はこちらから
【連載vol.1】今、働き方改革で注目したいのは”働き方”に直結する社員の“食環境”
【連載vol.2】その食環境、社員の疲労度をあげていませんか?
【連載vol.3】企業における食環境改善の実例とメリット
【連載vol.4】ストレスに強くなる食事とは(本記事)


笠井 奈津子(かさい なつこ)


栄養士、フードアナリスト、生活リズムアドバイザー、健康リズムカウンセラー

東京都生まれ

聖心女子大学文学部哲学科卒業後に香川栄養専門学校(現 香川調理製菓専門学校)を経て栄養士に。
都内心療内科クリニック併設の研究所で食事カウンセリングに携わる。
フリーランス転身後、“メタボとうつ”“心と食”などをテーマに講演を行う。企業研修では、数百人単位の参加者でも事前に食事記録をチェックし、労働環境、食環境にも配慮。コンビニでの選択法など、机上の空論にならないアドバイスを大事にしている。

 
▼著書
『10年後も見た目が変わらない食べ方のルール』(PHP新書)『甘い物は脳に悪い』(幻冬舎)
『子どもの「できない」を「できる」にかえる子育て食事セラピー』(河出書房)

など9冊、累計発行部数20万部。


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