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義務化されたストレスチェックは正しく実施しよう!制度や方法を紹介

従業員の心の健康促進を目的とした「ストレスチェック」は正しく実施できているでしょうか。ストレスチェックは2015年より実施が義務化されていますが、必要性や方法など、あまりよく理解できていない担当者も多いかもしれません。そこで、この記事では、制度についての情報や実施方法、実施する際のポイントなどについて紹介します。


1.ストレスチェックとは何か


ストレスチェックは、労働者が自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査です。ストレスに関する質問票(選択回答)に記入し、それを集計・分析することでストレスの状態を知ることができるとても便利なテストです。2015年12月に労働安全衛生法が改正されたことに伴って「ストレスチェック制度」が施行され、条件に該当する事業場は実施が義務付けられました。


2.ストレスチェックの必要性


仕事に対して強いストレスを感じ、うつ病などの「心の病」を発症したことで労災請求をした件数は、2018年度で1820人にものぼります。この数字は6年連続で増加しており、事業者は、労働者のストレスについてしっかりと向き合うことが求められています。ストレスチェックは、実施結果をきちんと従業員本人に伝えることでストレスの原因を知り、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐことができるのです。また、テストの結果を職場にも通知することで、職場環境の改善にも繋がります。結果的に、従業員が働きやすい職場づくりを目指すことが可能となります。


3.ストレスチェック制度について


ストレスチェックを導入する前に、どのようなものなのかをしっかり理解しておくことが大切です。ここでは、ストレスチェック制度について、対象者や実施時期などの詳しい情報を確認しましょう。


3-1.ストレスチェックの対象者とは


ストレスチェックの対象となるのは、事業場で働くすべての従業員です。ただし、労働条件によっては対象とならない人もいます。たとえば、契約期間が1年未満の従業員はストレスチェックの対象とはなりません。また、労働時間が、通常の労働者における所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者も対象外となります。気を付けたいのが、アルバイトやパートなどで働いている従業員です。ストレスチェックは、正社員やアルバイトといった雇用形態にかかわらず、事業場にいるすべての従業員が対象となるのがポイントです。


3-2.事業者に義務付けられていること


ストレスチェック制度における事業者の義務について、担当者はしっかりと把握しておく必要があります。まず、常時50人以上の従業員がいる事業場では、ストレスチェックの実施が義務付けられているので注意しましょう。実施する頻度は1年以内に1回とされており、毎年実施する必要があります。また、ストレスチェックはただ行うだけでなく、実施後には労働基準監督署へ報告書を提出しなければならないことに留意してください。それから、従業員が50人未満の事業場において実施は義務付けられていませんが、実施する場合には法令や指針に従わなければなりません。ただ、その場合は報告書を提出する必要はないです。


3-3.違反した場合の事業者に対する罰則


ストレスチェックを適正に実施しなかったり、労働基準監督署に実施状況を報告しなかったりした場合、最大で50万円の罰則金が科せられることになるので気を付けましょう。また、ストレスチェックを行わなかった場合には、労働契約法における安全配慮義務違反にも問われることがあります。安全配慮義務とは、労働者が健康的に働けるよう職場環境に配慮する必要がある、として事業者に義務付けられているものです。違反をした場合、損害賠償責任を負う可能性も出てくるので注意が必要です。


4.義務化に対応するためのストレスチェック導入・実施方法


ストレスチェックは、実際にどのような手順で実施すればいいのでしょうか。ここでは、義務化に対応した導入と具体的な実施方法について、順を追って説明します。


4-1.1.実施者の選別


ストレスチェックテストを導入する際、最初に実施者を選ぶ必要があります。ただし、この実施者は誰でもなれるわけではありません。労働安全衛生法で定められた実施者は、


1.        医師

2.        保健師

3.        厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士


とされています。ほとんどの場合、自社の産業医に依頼することが多いでしょう。もし、産業医に断られた場合や産業医がいない場合には、外部の業者に委託することも可能です。また、同時に、実施者の補助を行う実施事務従事者も選ぶ必要があります。この実施事務従事者は、ストレスチェックの結果による従業員の不利益を防ぐという役割も担っています。そのため、従業員の解雇や昇進、異動について直接の権限を持つ人は従事してはいけないことになっているので、選ぶ際には注意しましょう。


4-2.2.ストレスチェックの実施


ストレスチェックは、質問票を用いて従業員に回答をしてもらう形で行っていきます。質問票には、決められた3つの項目が含まれている必要があります。それは、「ストレスの原因に関する項目」「ストレスによる心身の自覚症状に関する項目」「労働者に対する周囲のサポートに関する項目」です。

質問票は、厚生労働省が「職業性ストレス簡易調査票 」を公開しており使用が推奨されているため、実施する際にはそれを利用することができます。また、この質問項目は、事業者が自由に追加することもできます。個人にテスト結果を通知するときには、点数だけではなく、レーダーチャートやストレスプロフィールなどの表を用いると分かりやすいです。とはいえ、具体的にどのような内容にすればいいか困ってしまうこともあるでしょう。その場合は、ストレスチェックを提供している企業に外部委託をすることも可能です。


4-3.3.高ストレス者の選定


高ストレス者は、ストレスチェックの結果を見て判断します。内容にもよるので、一概に「何点以上が高ストレス者である」とはいいきれません。ただし、厚生労働省が公開している質問票を使用する場合は、はっきりとした数値が示されているので判断しやすいです。高ストレス者とは、「ストレスによる心身の自覚症状に関する項目」において点数の合計が高い人とされています。それから、「ストレスによる心身の自覚症状に関する項目」の点数の合計が一定以上の人も当てはまります。ただし、この場合は「ストレスの原因に関する項目」「労働者に対する周囲のサポートに関する項目」の点数の合計も著しく高いことが条件です。


高ストレス者の選定は、調査票による選定の他に、面接の併用も有効とされています。この場合、面接はストレスチェックの一環という位置付けです。事業者によって労働環境が異なるため、高ストレス者の選定基準は、事業者が決定し、最終的な高ストレス者判定を実施者がおこないます。ストレスチェックの結果は個人にのみ通知され、個人の同意なく実施者が事業者に結果を提供することは禁止されているので、取り扱いには注意が必要です。


4-4.4.高ストレス者への対応


高ストレス者であると判断された従業員から事業者に面談の申し出があったときには、医師による面接指導を実施しなければなりません。高ストレスと判断された状態で放置されることがないよう、従業員には面接などの申し出をすることを推奨する必要があります。事業者は、従業員が申し出しやすい環境を整え、産業医やカウンセラーなどによる相談体制を充実させることが重要です。


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4-5.5.報告書の提出


事業者は、高ストレス者へ面接指導を行ったあと、ストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署に報告しなくてはなりません。報告書の様式はきちんと定められており、厚生労働省のWEBサイトで確認できます。ただ、報告書の提出時期についてははっきりとした決まりがないため、事業場ごとに設定することが可能です。


5.ストレスチェックの義務化で押さえておきたいポイント


ストレスチェックの義務化にあたり、企業の担当者が押さえておきたい重要なポイントがあります。ここでは、導入と実施、それぞれのポイントについて紹介します。


5-1.導入する際のポイント


ストレスチェック制度を導入する際は、担当者だけでなく、テストを受ける従業員全員にテストの有効性をきちんと説明することが大切です。そして、従業員全員がテストを受けることが最も重要となります。実施する事業者側も、従業員のストレスの軽減が結果的に労働生産性の向上につながることを理解しておきましょう。そのうえで、積極的に実施に取り組むことが必要です。


5-2.実施する際のポイント


もし、ストレスチェックの実施を外部委託する場合、中には無料で行っている業者もありますが、その他のフォローや相談については有料の場合も多いので、注意が必要です。また、ストレスチェックの結果は個人情報であるため、取り扱いには十分に注意しましょう。事業場のサーバー内などで保管する場合は、しっかりとセキュリティ管理をすることが大切です。それから、ストレスチェックの結果が他者に類推されるような通知の仕方は避けるようにしましょう。たとえば、「高ストレス者のみに手紙を配布する」などの通知方法は、周囲の人間に気付かれやすくなります。また、ストレスチェックはオンラインで行うことが可能です。厚生労働省がストレス実施プログラムを無料配布しているので、活用すると便利です。


まとめ


ストレスチェックの実施は、従業員の心の健康促進だけではなく、労働環境改善によって経営面にもプラスの効果が期待できます。ストレスチェックは、企業にとっても大きなメリットがあることなのです。企業の担当者は、必要性をしっかりと理解したうえで適正な導入・実施をし、ストレスチェックの義務化に対応していきましょう。


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